東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「………」
でもドアの向こうからはなんの反応もない。
「ねぇ、ここを開けて。そして出てきてよ。ちゃんと話そ?」
「………」
「じゃあ、出てこなくていいよ。あたしが中に入るからドアを開けて。お願い」
大袈裟みたいだけど、そのとき本当に神さまにお願いしたいくらいの気持ちだった。
やや間があって……、
「本当に…」
「え?」
「本当に今でも……あたしのことを……友達だって……思ってくれる?」
「offcorse!(オフコース!) 二人はアイ&ユー・コンビだったじゃん。別にあらたまって確認しなくても、ずっとあたしはユーの友達だから」
「………」
朝の女子トイレにしばしの沈黙が続いた。