東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「おまけに、早朝の風紀検査のときも帯刀先生といっしょだったし、まだその頃まだ部活やってたから剣道部の顧問として放課後も先生といっしょだったから、あたしがみんなにクチうるさく言うのは“先生とデキてるからだ”って陰で言われたし……」

“フンッ”と鼻で笑ってあたしはこう言った。

「ありえないでしょ、あんなのと恋に落ちるなんて…」

「人のクチに戸は立てられないから、もういいんだ。学校生活にも、もうなんの期待もしてないし。嵐が過ぎるのを待つように、ココでじっとしてれば、そのうち高校卒業で“ハイ、サヨウナラ”ってカンジだよ」

クラスメイトにいじめられ、先生も助けてくれないとなれば、女子トイレだけが自分の世界だと思いこんでしまったユーの気持ちも分からないじゃない。

「それにココってけっこー落ち付くよ。ホラ、作家でもトイレでアイディアを練るヒトとかいるじゃん」

「でもヒマじゃね? ユーはずっとココでなにやってるの?」

「ケータイでゲームやったり、友達にメールとかしてるよ」

「友達ってクラスの?」

「違う、違う、ネットで知り合った友達。ネット上に公開されてるお互いの“プロフ”を見て、気に入った者同士で、連絡取り合ってんだ。楽しいよ。アイもやらない?」

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