東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~

「お前ら、寝たな?」


不意にデカ島が言った。その顔がいやらしいカンジにニヤついていた。

「えっ…」

なんであたしたちが寝てたのが分かるの?

頭の中まで筋肉でできてるはずのアンタに、いつのまに某アニメの少年探偵みたいな鋭い推理力がついたワケ?

だけど、そう思いながら、何げにロムのほうを見ると、黒の学ランの背中がゴミだらけなのに気づいた。

…ということは多分あたしの背中もゴミだらけなんだろう。

ハハ~ン、デカ島のヤツ、それであたしらが寝てたのが分かったんだな♪

だけど!

だけど“あたしとロムが寝てた”っていう発言は聞きようによっては、ちょっとビミョ~じゃないかな?と思わなくもない。


「ね、ね、“寝た”って!? あなたたち! 高校生の分際でなんてハレンチなっ…」

ホラ、見て。アンタがヘンな言い方するから、米田先生がヒステリックな声あげちゃった。

厚化粧の下にクッキリと青筋が浮かんでいるのが分かる。
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