東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
ユーにメールで教えてもらった情報によれば、なんでもそのお店のパティシエはバレンタインデーに贈った相手と100%両想いになれる“魔法のチョコ”を作るらしいんだけど、あたし的には“ホントかな?”ってカンジ。

まぁ、とにかくダマされたと思って、その日のうちに、早速“王様のショコラ”というお菓子屋さんに行ってみることにしたあたし。

今回は下見だからロムはいない。あたし、ひとりだ。


王様のショコラ…、

そこは童話“三匹のこぶた”に出てくる家みたいな、レンガ作りの北欧の古民家風の外観を持つ、ちょっとお洒落な感じのお店。

店先には手入れの行き届いたハーブの鉢植えが並んでいて、そこに置かれた手作り風の看板には『王様のショコラ』と書いてある。


ドアを開けると、店内いっぱいにヨダレがジュルジュルしそうなスイーツたちが、おすまし顔でたたずんでいた。

バレンタインのプレゼントのつもりが、いつのまにか自分が食べる用に“どれにしよ♪”と目移りしながら選んでいるあたしに突然、誰か、男のヒトが声をかけてきた。


「よっ、久しぶり♪」


顔を上げると、甘いマスクで微笑む外国人……それもフランス系の男のヒトがいた。
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