東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「あたし?」
「帰国子女だけど、うまくクラスになじんでるか、ってことさ」
「大丈夫♪ だって、NYに行くまではずっとこの街で育って生きてきたんだし、7年間のブランクはあるけど、全然違和感なくなじんでるよ♪」
「そっか。“浦島太郎”にならなくてよかったな」
「浦島太郎…?」
ここで浦島太郎が出てくるとは思わなかった。それもハーフの凱のクチから…。
「帰ってきたら、そこは別世界、っていうじゃ、淋しすぎるだろ?」
「あ、そーいうことね。同じクラスにユーとか、ロムとか、チーコとか、あとデカ島とかもいて、みんななかよくしてくれてるから全然大丈夫だよ」
キクチ・ヨーコの名前を言わなかったのはワザとじゃない。純粋に言い忘れただけだ。そもそもなかよくなんてしてないし……。
「でも担任の帯刀ってオヤジが、大昔のサムライみたいなガッチガチの石頭でさ、ソイツとはしょっちゅうバトルしてるよ。そうそう、あと米田っていう行き遅れのオバちゃん先生がいて、これがまたヒステリックで超ウルサイんだよぅ」