東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「アイツもお年頃だからな。ま、クリスがロムのカノジョじゃねぇんなら、俺がカレシに立候補しよっかな」
「悪いけど、あたし、凱みたいなバター臭い顔はタイプじゃないから」
こんな超イケメンに言われてるのに、それを断るなんて、他人から見たら、どんだけもったいないことをしてるんだろうと思われるのかもしれないけど。
「ハイハイ、どーせバター臭いですよ。俺はパティシエなんだし、毎日バター使ってスイーツ作ってるんだから、バター臭せぇのはある種の職業病みてぇなもんだ」
“フフッ”と思わず笑ってしまうあたし。
凱はルックスがいいうえに、おしゃべりが上手だから、子供の頃からモテモテだった。
だから凱のカノジョになる女(ヒト)は、幸せな反面、女性関係で苦労が耐えないだろうな、と思う。
「…んで、どのチョコにするんだ?」
「どれがオススメ?」
「みんなオススメだ♪ 試食もできるぞ♪」
彼に勧められて、早速、ココアパウダーの乗ったトリュフチョコをパクッとひとくち!
「んまい!」って言葉をクチでしゃべれないほど、クチの中がチョコといっしょに甘くトロトロにとろけてしまった。