桜の木の誓い
裏門から自室に戻る時も誰にも会う事なく無事部屋へ着いた優真は入った瞬間、違和感を感じた。
此処は確かに自分の部屋のはず。
灯りのない部屋には、つい先程まで自分が居た時と明らかに何かが違う。
「――誰?」
そう、優真は感じ取っていた。
──己以外の気配を。
「居るのは判ってるから早く出てくれば?」
広いとは言い難い部屋の隅に狙いを定め、抑揚のない冷たさを含んだ音色で優真は暗闇に言い放った。
すると。
畳の上を歩く足音がし、闇に紛れた人物が姿を現す。
「!、…何の用ですか、」
―――平間さん。
その言葉に悠然と向かい立つ平間は薄気味悪くニヤリと笑った。
その表情に優真はゾクリと一瞬背筋が凍る。
(あの顔…、嫌な予感しかしないし……というか、気持ち悪すぎ)
優真は今だにニヤニヤ笑う平間に何の用か、と再び問う。
「いやー…、ちょっと立花君と良い事しようと思ってよ」
「遠慮させて頂きます。疲れているので退出お願いできますか」
平間の“良い事”という言葉に怪しんだ優真は、一度閉めた襖を開け、平間に早く出ていくよう促した。
「チッ、つれねぇなぁ」
あからさまに舌打ちをした後、意外にも平間はすんなりと部屋から出ていこうとする。
(もっと渋るかと思ったけど、案外あっさり引いた、か…)
その平間の行動に多少奇妙に思った優真だが、出ていってくれる事に越した事はない、と平間が退出するのを待つ。
あと、一歩。
それで襖を閉めれる、と優真が油断した時だった。
「――っ!?……やめ、…ぐっ」
此処は確かに自分の部屋のはず。
灯りのない部屋には、つい先程まで自分が居た時と明らかに何かが違う。
「――誰?」
そう、優真は感じ取っていた。
──己以外の気配を。
「居るのは判ってるから早く出てくれば?」
広いとは言い難い部屋の隅に狙いを定め、抑揚のない冷たさを含んだ音色で優真は暗闇に言い放った。
すると。
畳の上を歩く足音がし、闇に紛れた人物が姿を現す。
「!、…何の用ですか、」
―――平間さん。
その言葉に悠然と向かい立つ平間は薄気味悪くニヤリと笑った。
その表情に優真はゾクリと一瞬背筋が凍る。
(あの顔…、嫌な予感しかしないし……というか、気持ち悪すぎ)
優真は今だにニヤニヤ笑う平間に何の用か、と再び問う。
「いやー…、ちょっと立花君と良い事しようと思ってよ」
「遠慮させて頂きます。疲れているので退出お願いできますか」
平間の“良い事”という言葉に怪しんだ優真は、一度閉めた襖を開け、平間に早く出ていくよう促した。
「チッ、つれねぇなぁ」
あからさまに舌打ちをした後、意外にも平間はすんなりと部屋から出ていこうとする。
(もっと渋るかと思ったけど、案外あっさり引いた、か…)
その平間の行動に多少奇妙に思った優真だが、出ていってくれる事に越した事はない、と平間が退出するのを待つ。
あと、一歩。
それで襖を閉めれる、と優真が油断した時だった。
「――っ!?……やめ、…ぐっ」