桜の木の誓い
優真が言った事に土方と原田は言葉が出なかった。

普通の年若き女が口にするには重たすぎるその言葉。それだけ優真の決意は揺るぎないという事だろう。

それを言った時の優真の目は何処か遠くを見つめ、何かを決心した様な、そんな目をしていた。





「お前は何でそこまでして行きてぇんだ?」


土方は落ち着いた声で優真に尋ねる。


「私は…突然現れた見ず知らずの自分に良くしてくれた近藤さん達の役に立ちたいと思っただけ」




優真は本当に感謝をしていた。

右も左も判らないこの時代で暖かく自分を迎えてくれた事がどんなに心強かったか。

一緒に笑ったり稽古をしたり…そんな近藤達との些細な日常が心地よかった。

そして、次第に優真にとって近藤達は大切な存在となった。
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