桜の木の誓い
「フッ…、本当に変な奴だ。お前の気持ちはよく判った。だが、一つ聞く。もし人を斬らなければならない状況になった時…優真、お前は出来るのか?」


土方は真剣な面持ちで言った。



人を斬る…
武士として参加するのだから当たり前だ。私も生半可な気持ちで決めたわけじゃない。
勿論───



「…覚悟してる」


そう言って優真は鋭い眼差しで土方を見つめた。


「そうか…、ならお前を山本の代りに参加させる事にする」


但し男としてだがなと土方は妖しい笑みを浮かべた。そんな土方に対して、優真は大丈夫と力強く頷く。









こうして優真の参加が決まった日の夜は不気味な程に暗い闇が江戸を包み込んでいた。



「あっ…刀持ってなかった」

「な、なにぃぃーーー!?」



そして土方の悲痛な叫び声も暗い闇に響き渡ったのだった。
< 32 / 136 >

この作品をシェア

pagetop