桜の木の誓い

 ガツッ


「だ、誰だお前は!?」




少年を斬ろうとした男は驚愕した。

突然、背丈が大きいとは言えない華奢な青年が現れたかと思うと、少年を庇うように立ち、男の刄を抜刀していない鞘で受け止めたのだから。


高く結った長髪、右目尻のほくろ、紺色の着流しの青年は


──優真だった。


相手は優真の格好から男だと思ったらしい。





「人に名前を訊く時は自分から名乗りなさいって教えてもらわなかった?」

「何を生意気なっ!」

「それにぶつかったくらいで斬ろうとするなんて………最低」





最後の台詞は背筋が凍るようなどすの利いた声だった。
思わず身震いをする男達。



「だ、黙れっ!!おのれぇ…お前から斬ってやる!」



男はそう言うと刀を大きく突いてきた。

それを難無く避ける優真。



遅い…隙がありすぎる。

これなら抜刀せずに終わらせられるかも。


< 42 / 136 >

この作品をシェア

pagetop