桜の木の誓い
舟を降りた優真達は、どこか休める処はないかと足を進める。


「大丈夫?」


優真はお腹を抑えながら最後尾を歩く斎藤に声を掛けた。流石に顔色の悪い斎藤を見ると、声を掛けずにはいられなかった。


「…大丈夫だ。先程よりも大分落ち着いてきた」


でもまだ顔色が悪い…。
慣れない舟に乗ったせいもあるのかも。


苦手な人でも体調が悪いとなれば、心配になる。斎藤は壬生浪士組の仲間だから。


「すまなかった」

「え?」


突然聞こえた言葉に優真は怪訝そうな表情で斎藤を見る。こちらを真剣に見てくる斎藤。その鋭い目つきで刺すように見つめられ、一瞬優真の身体はビクリとなる。


「あの晩のこと…。井戸でお前が……、それはいい。兎に角、お前の気持ちも考えずに言ったことは悪く思っている」

「………」

「…だが、あの時言ったことは本当のことだ。もしまたこの前のようなことがあれば」














───ここから出て行け



斎藤は静かにそう言った。
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