愛と傷と涙の痕跡
やぁ、と笑うコウイチさん。この人はタケの4個上で、確か大学生だ。
タケシは?と聞かれたので、コンビニに行きました、と答えるあたし。
この人…少し変だ。何でそんなにキョロキョロしているのか。
挙動不審だし。どうしたんだろう。
顔をこわばらせ、無言であたしに近づくコウイチさん。
あたしはわけが分からず、じっとコウイチさんの挙動を見ていた。
コウイチさんは床にしゃがみこみ、あたしと高さの同じ目線になった。
お互いの顔はわずか数センチのところにある。
コウイチさんの目は人間のものとは思えないくらい
ギラギラ光っている。ように見えた。
おい。と、低い声でつぶやかれ
あ、はい、とマヌケな声を出してしまった。
そしてコウイチさんはあたしの
制服のブラウスのボタンに手をかけた。
ひとつずつはずされていくボタンを見ながらあたしは
コウイチさんが何をしようとしているのかようやく気付いた。
あたしは怖くて動けなかった。
どうしよう。助けて。
タケ。タケ…。