大人のなり方

「・・・・」

タテは何も言わないでまどかをじっと

みつめた。

まどかはタテと目を合わせないようにして

電車の外を見つめる。



ほら、やっぱり。

いるんだ。

まどかが、ちゃかそうとしたそのとき。


タテが一言こたえた。

「いるよ。」


あまりにもさらっと言われて

まどかも反応に困る。




「でっしょー!!?だと思った。」

あわてて、元気よくおどけるも。

その不自然さにタテが気づかないわけもない。


「でも」

またタテが口をひらいた。

「あんまり、会ってないって言うか・・。

つきあってるっていえるのかな・・・。」


最後のほうは自分の中でつぶやくくらいの

声で。


< 22 / 86 >

この作品をシェア

pagetop