大人のなり方

二人が飛び乗ると同時に電車の扉は

しまった。

「はあはあ。。。」

「っぶねー。」

二人ともドアにもたれて笑いあう。

つないでいた手もさりげなくはずされた。




「あ、大丈夫だから」

「え?」

「お母さんとは、顔、合わさないように

改札とかまでは行かないから安心してね」

「うん。」



すごい。

気を遣ってくれてる。


どうしよう。

どうしたらいい?


彼女、いるんだよ?

なんでそんなにやさしくするの?

期待、しちゃうよ。



I駅に着くとタテは、まどかの頭を

ぽんぽん、とたたくと折り返しの電車に

のっていった。


ガラス越しに「またね」と

くちをぱくぱくさせる

タテをみていると


さっき握られた手が熱く感じて。

まどかのどきどきはとまらなかった。
< 24 / 86 >

この作品をシェア

pagetop