大人のなり方
あ…。

いた…。


ちょうど三塁ベースの近くにある、白い線で囲まれたところに。


黒いリストバンドをした、タテが立っていた。


どうやら、選手に指示を出しているようで。


そういえば副キャプテンだっていってたな、と

まどかは考えていた。


「あ、まどか!今投げてるの、横山くんじゃん!」


奈美の声で、まどかもマウンドに目をやる。


「あ、ほんとだ。かっこいいね!」


バイオリンをもった女子が、二人フェンスにへばりついているのが、めだたないわけがない。


「あれー、奈美ちゃんと、まどかちゃんだ!」


横山くんが、マウンドから降りてきた。
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