大人のなり方
「先輩ー。練習中ですってー。」
突如聞こえたその声に、まどかが
びくっとする。
・・・タテだ。
まだ姿が見えないうちに
声が判別できるなんて。
なんて、意識しちゃってるんだろう。
まどかは、そちらを見ることができない。
「あー。タテはうるさいなあ。」
「試合ではもっと心に余裕がないと。」
先輩たちは笑いながらタテの肩をたたいている。
「先輩たちは、引退したからそんなこといえるんですよ!」
憮然とした雰囲気のタテ。
本当に真剣に野球をしてるんだ・・・。
そんなささいなことにもどきどきしてしまう。
まどかは、そんな自分に気付いて
重症だな、と嘆息した。