大人のなり方
「そっか。
じゃあ、寂しいけど
先帰るね」
奈美がまどかの背中を
軽くたたくと門にむかって
ひとりで歩いていく。
「あ。」
奈美が走って戻ってきた。
「さっき言い忘れた」
「なに?」
「私、余計なこといわない。
まどかの味方だよ。
まどかを泣かすようなら
タテだって許さないから。」
「今は、まどかがいやがるから
タテにもなにもいわない。
ただそれだけ」
それだけいうと
まどかは帰っていった。
「奈美ちゃん・・・。」
うれしかったけど
その言外に
タテを責める気持ちが
感じられて
やはり少し
つらかった。