日直当番
「出口まで同じですか。神崎さんはどこに住んでいるんですか?」


進藤くんの質問がぼんやりと聞こえる。


ひどく現実感がない。


「一ノ宮に、住んでる」


「僕は豊地です。案外近いところに住んでいるんですね」


「あは、もう5月なのに、全然、気がつかなかっ…た」


私は言い終わる前にその場にしゃがみ込んでしまった。


「神崎さん?」


先に行こうとした進藤くんが私の様子に気づいて戻って来た。


「ごめん。いいよ行って。改札口出たら家まで10分くらいだから」


「その状態で10分も歩くのは辛いでしょう。それに傘も持っていないのではまた濡れてしまいます。僕が家まで送ってあげますよ」


進藤くんは真顔でそういうことを言う。



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