日直当番
「ふん」


進藤くんは一瞬私から目をそらした。


「神崎さんは人の寝顔を覗き見する趣味があるんですか?」


進藤くんは意地悪そうな目をして言う。


「ちがっ!たまたまでしょ!?自分がかっこ悪いとこ見られたからってひがむなっ」


進藤くんは薄笑いを浮かべて紅茶を口に運んだ。


「ばぁか…」


そう呟いてみてもただの負け惜しみにしか聞こえない。


「学年1位のこの僕に向かって馬鹿とは失礼ですね」


そこを敢えて拾うのか君は。


「進藤くんが今回のテストで1位からこけ下ろされますように」


私は手を合わせて目をつむり、わざとらしく大きな声で言った。


「どう言われようと僕は落ちる気はないですね」


「嫌味なやつだよあんたは」


「なんとでも言ってください。さて、時間も時間ですし、家まで送りましょう」


窓の外を見ると薄暗くなり始めていた。


雨足は少し弱まったようだ。










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