ホストと私。
「今日行こう!」
マリアちゃんが言った。

「指名どうする?」

マリアちゃんが説明するには
指名しなくても飲めるらしいけど
指名するとずっとお話ししてれるらしい。

マリアちゃんはレン君だから、じゃぁ仲良しのカズヤ君でいいよ、と言った。

その日も、マリアちゃんと私はお酒を飲む前から酔っていた。

「来てくれたの?ありがとう!」

カズヤ君が嬉しそうに席に座る。
マリアちゃんはレン君になでなでされてる。

この2人って付き合ってるんだなぁ~って思った。

実はマリアちゃんが好きなんじゃなくてレン君がマリアちゃんを
好き過ぎていたんだけど。

カズヤ君は大人だった。

当時私より約10歳離れてたから
喋り方、考え方、優しさがずば抜けて良かった。

だから、すぐにカズヤ君を好きになった。

ホストクラブという世界を全く知らなかったから
すぐにカズヤ君に気持ちを伝えた。

カズヤ君は嬉しそうに
「ありがとう」と答えてくれた。

その日、カズヤ君と私は彼氏、彼女になった。


カズヤ君は
「お店に来て」
とは言わない。

私がカズヤ君に会いたくて自分の意思でお店に行った。

毎日会いたくて
仕事が終わったら、そのお金を持って
カズヤ君に会いに行った。

カズヤ君は
「お酒を入れて」
とは言わない。

お酒をいっぱい入れてくれるより
いっぱい会いに来てくれる方が嬉しいと言った。

マリアちゃんがドンペリを入れるから
私はいつもお零れをもらってた。

初めて飲むドンペリはおいしくなかった。

けれど、ドンペリを入れると
ホスト全員でコールしてくれるから
凄く楽しかった。

ヘルプって言われるホストも席に来てくれて
気づいたら
殆どのホストを知ってる
殆どのホストから知られてる人になってた。

ミンナ知り合いのようで毎日が楽しかった。
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