アクリルの向こうのブルー
碧依の生まれた島の海は

あまりに澄んだ碧だった。

足元まで透けて見渡せる

白い砂浜の、

離れて見れば

エメラルドグリーンだとか、

アクアマリンと言うような

そんな海だった。


そこに 浮かべた浮き輪、

その上に、

座る。

力を抜いて、

波に全てを任せて、

ゆっくりと揺れてみたり。

まぶたを閉じれば、

聞こえてくる波の、

音に合わせるようにして

碧依だけの、

もう一つの海が映る。


日差しが暑ければ、

透き通る碧の中に潜って、

そっと目を開ける。

始めは少し痛くても、

すぐに慣れる。

そこには、

コバルトブルーや黒

あるいは白い縞

小さな魚達が迎えてくれる。


すぐに息が続かなくなり、

碧の中から顔を出すが、

碧依は、

泳ぐ事が出来たのだった。


あの海でなら…
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