Butterfly's dream ―自我の境界線―
「瑞樹ちゃん、『胡蝶の夢』ってお話があるんだけどね」
そう言いながら橘は興奮してじわりと汗ばんだ瑞樹の手を優しく両手で包んだ。
「荘周という人が夢の中で蝶々になるんだ」
「…蝶々に?」
「そう、綺麗な羽根の蝶々にね。空や野原をひらひらと飛び回って自分が人で『荘周』である事さえすっかり忘れて楽しむんだ」
「うん…」
「でも目が覚めてみればやっぱり自分は荘周という人で。だけど自分が…『荘周』っていう人が夢で胡蝶となったのかそれとも蝶々が『荘周』という人間になった夢を見ていたのか…」
そう言いながら橘は興奮してじわりと汗ばんだ瑞樹の手を優しく両手で包んだ。
「荘周という人が夢の中で蝶々になるんだ」
「…蝶々に?」
「そう、綺麗な羽根の蝶々にね。空や野原をひらひらと飛び回って自分が人で『荘周』である事さえすっかり忘れて楽しむんだ」
「うん…」
「でも目が覚めてみればやっぱり自分は荘周という人で。だけど自分が…『荘周』っていう人が夢で胡蝶となったのかそれとも蝶々が『荘周』という人間になった夢を見ていたのか…」