Butterfly's dream ―自我の境界線―
<夢の終わりに>
 人の欲望は進化における最大の燃料だ。



 飽くなき追求は無数の分野においてまるで木の根のように張り巡らされ知を、技術を追い求め成長していく。

 それを良しとするか否とするかは後の人々が『歴史』として判断することでその時を生きている人間には判断出来ないことだと橘は思って、いや諦めている。


 冬の、薄い西日の差し込むこの病室に居合わせたのは患者である瑞樹とその両親、そして主治医の橘とその助手である樋口の5人だけだった。

 生命維持に使われる機材が規則正しく呼吸と脈を作り出し一定のリズムを刻んでいる。 
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