Butterfly's dream ―自我の境界線―
<蝶々>
晴れやかな青空が広がる春の午後。
桜の季節も過ぎて淡い色をしていた木々はこれから迎える夏に向けて葉や枝を広げ生命の濃度を増している。
瑞樹は屋上から遠くに見える萌え立つ木々を見て大きな目を輝かせながら少女らしい笑顔を綻ばせていた。
「瑞樹ちゃん、もうそろそろお部屋に戻りなさい」
屋上のフェンスに手をかけ遥か向こうの景色を愛おしそうに眺める瑞樹に壮年の白衣を着た男性が声をかける。
その呼び掛けに瑞樹は振り返りながら唇を尖らせて抗議した。
桜の季節も過ぎて淡い色をしていた木々はこれから迎える夏に向けて葉や枝を広げ生命の濃度を増している。
瑞樹は屋上から遠くに見える萌え立つ木々を見て大きな目を輝かせながら少女らしい笑顔を綻ばせていた。
「瑞樹ちゃん、もうそろそろお部屋に戻りなさい」
屋上のフェンスに手をかけ遥か向こうの景色を愛おしそうに眺める瑞樹に壮年の白衣を着た男性が声をかける。
その呼び掛けに瑞樹は振り返りながら唇を尖らせて抗議した。