Butterfly's dream ―自我の境界線―
 「本当にこれは現実なのかしら」



 ふいに自分の口を突いて出た言葉に我が事ながら驚く。

 だがこの言葉を聞いて驚いたという事は自分がこの場にいることの何よりの証拠であるはず。

 なのにその実感は微塵も感じられなかった。


 橘はその実感の無さに背筋を凍らせ思わず自分がここにいるという『確証』を探す。


 例えば―――先程自分が行った行為を思い出してみる。
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