Butterfly's dream ―自我の境界線―
「瑞樹ちゃん、君はちゃんと此処にいるよ」
「それがホントかなんて分からないじゃない。証拠は?!」
「僕が証人になるじゃないか」
「それは先生の見て「瑞樹がいる」って感じてるってだけ!瑞樹には「自分がここにいる」って実感がない!」
悲痛な叫びを含んだ声に言葉が詰まる。
自己を確立するには自分以外のものとの距離感を感じることが一番の近道だが彼女は立ち位置を把握するよりもその距離自体の確実性を求めている。
非常に哲学的な欲求である。
年端のいかぬ少女にしては大人びた疑問だと思ったが、人ならば一度ぐらいはぶつかる疑問であり感覚だろう。
橘は遥か昔の自分も同じ疑問にぶつかった時の記憶を手繰り寄せてそう思い直した。
「それがホントかなんて分からないじゃない。証拠は?!」
「僕が証人になるじゃないか」
「それは先生の見て「瑞樹がいる」って感じてるってだけ!瑞樹には「自分がここにいる」って実感がない!」
悲痛な叫びを含んだ声に言葉が詰まる。
自己を確立するには自分以外のものとの距離感を感じることが一番の近道だが彼女は立ち位置を把握するよりもその距離自体の確実性を求めている。
非常に哲学的な欲求である。
年端のいかぬ少女にしては大人びた疑問だと思ったが、人ならば一度ぐらいはぶつかる疑問であり感覚だろう。
橘は遥か昔の自分も同じ疑問にぶつかった時の記憶を手繰り寄せてそう思い直した。