かくしご
 初めは、
“ずうずうしい、今どきの小娘。”
と思っていた、信太郎も次第に
美代子のかわいさに気付いてきた。

 考えてみると、いわゆる
“家庭の事情”ということで 
みつと結婚したのであって、
男 信太郎は、まだ“恋”を
したことがなかった。 
気づかなければいいものを 
気づいてしまったから、
信太郎は、心が抑えられなくなった。

 映画や小説の中でしか知らないが、
自分だって、まだ29歳だ。 
自分の意思で 女性に声をかけて、
自分の好みの女に仕立ててみたいものだ。 
まだ19歳の美代子が、そんな自分を満足させてくれるように思った。
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