かくしご
 美代子は、一人暮らしをしていた。
その好都合は、いっそう二人の関係を強めた。

 みつとの夫婦の時間は、
結婚当初、自分の兄弟も一緒に暮らしていたので、
薄暗い部屋で、声を押し殺していた。 

 ただ『子孫を残す』と言う事ばかり
考えていたように思う。 

 しかし、美代子とのその時間は、
とても楽しかった。 
女が、こんな声を出すとは知らなかったし、
歪んだ女の顔がこんなに美しいとも思わなかった。
明るい部屋で、開放的は二人の時間を
味わい、酔いしれた。

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