かくしご
 それからその日は、
その女の途切れ途切れの話が、
何度も頭の中に聞こえた。

 子供達が元気よく遊び、ケンカし、
泣いていてもほとんど耳に入らず過ごした。

そして夕方、
 《様子を見よう、今夜はこの話をしない。》
と心に決めた。

 果たしてこの事実を夫は、知っているのだろうか? 
また、義父はどうなのだろうか? 
と問い正したい事はたくさんある。 

 でも妊娠した事を知らないのに
自分から話したら、どういう事になるだろう。 

夫はまた 
美代子のもとへ行ってしまうかも知れない。
なんとしても もう夫を取られたくはなかった。
< 23 / 47 >

この作品をシェア

pagetop