かくしご
 このままでいいのか、
どうしたらいいのか。
考えても信太郎には、
思いつくことはなかった。

きちんと手切れ金を払ってしまえば、
それで美代子は中絶の手術をしただろうに、
自分が何もしてやらなかったので、
今頃になって、
「復讐」などという事を言ったのだろう。

 とにかく、父や、みつに知られないようにしておかなくてはならない。

 日々そんな事を考えながら過ごした。 

 
 しかし何事も変わらぬまま、時が流れた。
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