かくしご
 翌日信太郎は、会社を休み
調べ回ったが、美代子が住んでいた所は、
空き家になっていて、
隣に住んでいる人が、
 「私は、あまり付き合いはしていませんでしたが、
 お子さんが生まれてから、実家の人がよく訪ねて来ていたみたいでしたね。
 実家は、銀座と聞きました。」
という程度しか、分からなかった。

 とうとう、信太郎は、みつに頭を下げた。
 「本当におれの不始末だ。
 申し訳ないが、信子を育ててやってくれ。」
頭を下げている本人よりも 聞いているみつのほうが、涙がこぼれた。

自分のこれからはどうなるのだろう。
外の景色は、大好きな春になっていたが、
みつ心は、まだまだ冬のままだった。 

 このままずっと冬のまま自分は暮らしていくのだろうか。

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