かくしご
「裏の小母さんに和裁を習って、
子供達の浴衣から仕立てようと思っていました。
子供が小学校に行くようになったので、
今までできなかった事を始めようと思っていたんです。
そして、手が慣れたら、あなたの浴衣。
私は、女学校時代あまり勉強する間がなかったので、
よく分からないのです。
でも、できもしないのに
去年の夏の終わりに浴衣の反物買ってしまったんです。」
薄暗い部屋のなかでみつは、ゆっくり話し続けた。
「信子ちゃんを引き取ってからは、
そんな時間はあきらめました。
家を出ると ご近所の人が、
私の顔を見て、何か言っているんです。
洗濯物を干す時も 誰かが私の話をしています。
子供の学校の父兄会も行かなくなりました。」
いつになく 信太郎は、みつの話を聞いた。ただただ頷いた。
30分たってもみつの話は終わらなかった。
内容は繰り返しだったが、じっと聞いていた。
「人に会うのが怖いわ。」
子供達の浴衣から仕立てようと思っていました。
子供が小学校に行くようになったので、
今までできなかった事を始めようと思っていたんです。
そして、手が慣れたら、あなたの浴衣。
私は、女学校時代あまり勉強する間がなかったので、
よく分からないのです。
でも、できもしないのに
去年の夏の終わりに浴衣の反物買ってしまったんです。」
薄暗い部屋のなかでみつは、ゆっくり話し続けた。
「信子ちゃんを引き取ってからは、
そんな時間はあきらめました。
家を出ると ご近所の人が、
私の顔を見て、何か言っているんです。
洗濯物を干す時も 誰かが私の話をしています。
子供の学校の父兄会も行かなくなりました。」
いつになく 信太郎は、みつの話を聞いた。ただただ頷いた。
30分たってもみつの話は終わらなかった。
内容は繰り返しだったが、じっと聞いていた。
「人に会うのが怖いわ。」