かくしご
 そんなみつを見ながら、
今の混乱期を乗り越えれば、
きっと もう少しうまいものが手に入るだろう。
そうしたらこいつに 栄養をつけさせ、
元気な子供を産んで欲しいと信太郎は、願っていた。

 「赤ちゃんはどうだ?」
とみつの腹をなでるのが最近の楽しみだった。
今夜は、腹だけでなく、大きくはった胸を探り、
さらに気持ちが止まらなくなり、
下腹部もゆっくりとさぐった。 
 みつの顔が、母親らしい顔から、
女の顔になっていった。
その変わる瞬間が、信太郎は、たまらなく好きだった。
そして、かすかな声が、みつの口元から漏れた。 

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