『私も歩けばイケメンにあたる♪』
でも、
何の経験もない私には、
雅にかけてあげる言葉が
みつからなかった。
大丈夫だよ、なんて、
安っぽい言葉は、
雅を傷つけるだけな気がする。
いつも勇気をくれるのは、
雅で、
私は雅に、
何もあげられない・・。
私が、そっと
雅の肩を抱きしめると、
私の左肩に、
雅の頭が乗せられた。
どれくらい、
そうしていたのだろう。
「よし!」
という、
あいつの声で、
私たちは一斉に振り向いた。
あいつは、
一人離れたところで、
一本の竿は手に持ち、
2本の竿は床に這わせて、
釣り糸をたれていた。
一人で、3本の竿を使って
釣りをしていたのだが、
どうやら、そのうちの一つに
魚が来たらしい。