『私も歩けばイケメンにあたる♪』
私が躊躇している間にも、
あいつは、
なにやら、
魚の身をとって残った、頭のついたところを、
大根やら、竹串やらを使って、
器用に皿に並べていく。
その上に、細く切った大根を
乗せていく。
「ほら、早く
お前が切らないと、
この上に乗せる
刺身がないままだぞ。」
手を動かさないまま、
あいつをじっと眺めていると、
せかされてしまった。
「どうやればいいか、
わかんないよ。」
「そぎ切りでいいんだよ。
やったことないのか?」
「うん。」
あいつは、
『しょうがねえなぁ。』
と言いながら、
私のすぐ後ろに回って、
私が包丁を握っている右手に
自分の右手を、
重ねた・・・。
心臓が、
一気に
跳ね上がった。