『私も歩けばイケメンにあたる♪』

座ったまま見上げると、
あいつは、腕を組んで、
私を睨みつけている。

「食べろ。」

静かな声は、余計迫力を増して聞こえる。

「食欲がなくても、
フルーツくらいなら、
平気だろ。

ケーキの台は残しても良いから、
フルーツだけでも口に入れろ。」


食欲はなかったけど・・

なんとなく逆らいきれず、
みかんを口に入れる。

「おいしい・・。」

泣きつかれて眠ったまま、
水一滴飲んでいなかった喉には、

みかんの甘い汁が、
砂漠で飲む水のように、
感じられた。


「缶詰の果物ばかりだけどな。」

あいつは、少し柔らかい声になって、
私の隣に座る。







< 206 / 462 >

この作品をシェア

pagetop