『私も歩けばイケメンにあたる♪』
座ったまま見上げると、
あいつは、腕を組んで、
私を睨みつけている。
「食べろ。」
静かな声は、余計迫力を増して聞こえる。
「食欲がなくても、
フルーツくらいなら、
平気だろ。
ケーキの台は残しても良いから、
フルーツだけでも口に入れろ。」
食欲はなかったけど・・
なんとなく逆らいきれず、
みかんを口に入れる。
「おいしい・・。」
泣きつかれて眠ったまま、
水一滴飲んでいなかった喉には、
みかんの甘い汁が、
砂漠で飲む水のように、
感じられた。
「缶詰の果物ばかりだけどな。」
あいつは、少し柔らかい声になって、
私の隣に座る。