『私も歩けばイケメンにあたる♪』
「なんで、ケーキがあるの?」
斜めに傾いて、
とけかかった生クリームが申し訳なさそうにのっているそのケーキは、
お世辞にも、店で買ったものには、見えない。
「ん?
また作ってやるっつったろ?」
あいつは、そっぽを向いて答えた。
作ってやるって、
まさか、
私のために、
わざわざ作ってくれたの?
「あんたが作ったの?」
「俺以外の誰が作るんだよ。」
「(お手伝いの)香さんとか・・。」
「香さんが作ったら、
もっとましなのが出来てるよ。」
「だって、こないだは、
すごい立派なケーキだったじゃない。」
「こないだは、プロの指導を受けながら
作ったの。
道具も材料も揃ってたし。
今回は、ネットで作り方見て一人で作ったんだ。
おまけに、苺はもう売ってないらしくて、
全部缶詰だよ。
悪かったな!」