『私も歩けばイケメンにあたる♪』
栞の眼力に耐え切れず、
私は、洗いざらい白状する羽目になった。
なんか、
改めて言葉にすると、
すごいことが起こってたんだと、
実感する。
「え~、もったいない!
なんで、キスしちゃわなかったのよ。」
「え、なんでって。
その、
初めてでどうしていいか、
わかんなかったし・・。」
栞には、母のことを話していなかったので、
正直な気持ちを言うのがためらわれた。
自分の気持ちも、自分でいまいちわかってなくて、
言葉で説明するのは、至難の業だ。
愛されたいけど、
愛されるのが怖い。
この複雑で奇妙な気持ちを、
栞には、理解してもらえない気もして、
なんとなく言いそびれた。