『私も歩けばイケメンにあたる♪』
「え?
キスしたことないの?」
栞は、くるくると良く動く瞳を
まんまるにして・・、
かなり
驚いたみたいだ。
「ないよ。
だって、つきあったことないもん。」
「うそ?
だって、ひかりもてるじゃん!
告白されたことくらいあるんじゃない?」
栞のほうがよっぽどもてそうだよ!
と、ココロの中で突っ込んだ。
そういえば、中学のとき、
一度だけ告白されたこと、あったな。
もうすっかり忘れてたけど。
「ちょっと、その間は何よ?
告白されたことはあるんだね。
つきあわなかったの?」
どう返事をしようか迷っていると、
栞が先に口を開いた。
「う~ん、
なんていうか、
親に心配かけたくなかったし・・。」
当時の自分を
思い出すと、
付き合わなかったのは、
母のためという理由が、
一番ぴったりとする気がした。
夕飯を作るのは、
私の役目だったから、
帰宅が遅くなるのは困る、
とか、色々考えたことを思い出す。