『私も歩けばイケメンにあたる♪』
「ごめん!」
小声であやまると、
栞は、笑って頷いた。
「お姉ちゃんの彼氏だし、
最初は我慢してたんだ。
でもさ、やっぱり好きって気持ちは、
“好きになっちゃいけない”
な~んて、シチュエーションだと、
なおさら加速して
好きになっちゃったりするもんなんだよね~。
想いが膨らみすぎて、
壊れそうになっちゃて、
告白しちゃった!」
栞は、重要な中身を、
おどけたように明るく話す。
「それで?
どうなったの?」
「ふられたよ~。
お姉ちゃんには、内緒にしとくからって。
で、な~んと、
二人はこのほど、婚約しました~!」
「ええ?
それって、義理の兄になるってことじゃない!
嫌じゃないの?」
「それがね~、
不思議と、嫌じゃないんだよね。
ふっきれたというか、
ちょっと前までは、
落ち込んだりもしてたんだけど、
今は、
心のこと、
本気で好きになり始めてるからかな。」
遠い目をした栞の横顔は、
大人びて見えて、
すごく、綺麗だった。