『私も歩けばイケメンにあたる♪』
昼と夜とで、
まったく違う顔を見せる住宅街は、
住み慣れた自分にも、
初めて来た街のようで、
震えが来る。
駅までの道を早足で歩いていると、
コンビ二の明かりが見えて、
ほっとした。
とにかく、家に連絡しよう、
そう思って、携帯を開くと、
何件もの着信があって、
心配した母からの留守電も入っていた。
大急ぎで電話する。
「もしもし?
お母さん?
あ、ごめんなさい。
お父さんが会いに来てたの。
今から帰るから。
大丈夫、一人で帰れる。」
なるべく嘘が混ざらないように、
適当なことを言って、
ほっと息をつくと、
コンビ二の前にたむろしている2人の男たちが、
ニヤニヤと無遠慮な視線を
おくってきた。
私のほうを見ながら、
何かこそこそと話をしている。
気味が悪くなって、
駅までの道を駆け出した。