『私も歩けばイケメンにあたる♪』

かなりの時間電車で揺られても、
まだ降りる気配がない。

どこまで行くのかと何度尋ねても、
秘密だと、小さく笑われる。

それでも、
あいつに握られた掌から感じるぬくもりは、

とても安心できて、
長い沈黙も、少しも嫌じゃなかった。


このまま、時間が止まればいいのに。

そんな、ありふれたことを考えるくらい、
ゆったりと心地よい時間が流れた。

しばらくすると、
視界が開けてきて・・、


「あ、海だ!」

席を立ち上がると、
キラキラと水面が光って見えた。

あいつの瞳みたいだ。


駅に着くと、
見たことのある景色で、

あいつがどこへ来たかったのか、
ようやく理解できた。








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