『私も歩けばイケメンにあたる♪』
「ここ、この前来た別荘があるとこだよね?」
「この前来た時は、
皆一緒だったし、
海は、釣りに来ただけで、
浜辺のほうには、降りなかったろ?」
あいつは、いたずらっ子のような笑みを見せると
手をつないで歩き始めた。
「きれいだねぇ。」
砂浜を歩くと、
砂がキュッと音を立てた。
「泳ぐには早いけど、
今の時期は、
人で埋まってない分、
俺たちだけの海って感じがするだろ?」
“俺たちだけの海”
案外ロマンチストなあいつの言葉に、
本日2度目の笑いが漏れた。
「何がおかしいんだよ。」
あいつは、きれいな唇を突き出して、
すねたようなそぶりを見せる。
その様子がいつものえらそうな態度からは
考えられないほどかわいく思えて、
やっぱり、ぷっと、吹き出してしまった。