『私も歩けばイケメンにあたる♪』
母とおじさんに、わずかな罪悪感を
感じた私の頭を、
清は、くしゃっ、となでてくれた。
「よし!行こう!」
「うん、ありがとう。」
駅からの道のりを
私たちは、じゃれあって歩いた。
といっても、清が一方的に私をからかって、
私がそれに文句を言うという、
他人から見たら、喧嘩か?
というような類のものではあったが。
清は、けらけらと嫌味を振りまき、
私は、文句をつけながらも
悪い気はしなかった。
それまでの同居生活の中で、
一番幸せな時間だった気がする。
それが、あっという間に奈落の底に
落とされるなんて、まったく思いもしなかった。
ジェットコースターのてっぺんから、
まっさかさまに落ちる瞬間が、
刻一刻と迫っていた。