『私も歩けばイケメンにあたる♪』
「ねぇ、お母さん。
どうして、私を施設に預けなかったの?
捨てようって・・、
思ったことないの?」
今なら、聞ける気がした。
ずっとずっと、聞きたくて、
でも怖くて聞けなかったこと。
母は、ちょっと目を丸くしたけど、
困ったように目を細めて、
2人だけの秘密よ?
と、小声で言った。
私はこくんと頷いた。
「あのね、お父さんの素敵なところを知ってるのは、
私とひかりだけでしょ?
ひかりを施設に預けたら、
お父さんの帰ってくる場所がなくなっちゃうじゃない?」
捨てられたのに、父のために、
帰ってくる場所を残しておこうとしたの?
私が戸惑った顔になったのに、
母は、気づいたのだろうか?
それにね、と母は付け足した。
「私はひかりのことが、大好きだから、
ずっと一緒にいたいと思ったんだよ。」
屈託なく笑う母を見て、
強い人だと思った。
こんな風に、強くて、素敵な女性になりたい。