『私も歩けばイケメンにあたる♪』
あいつは、
私が固まったまま、
突っ立っている姿を見上げて、
頬杖をついたまま、
にっこり、
と笑った。
事情を知らない人が見たら、
きっと、さわやかな高校生の営みに見えただろう。
でも・・
目が笑ってない!
栞は、動かないままの私の体を後ろから押して、
まあまあ、
と言いながら、
自分の隣に座らせてくれた。
・・とりあえず落ち着こうよ、私。
ココアを一口飲んでから、
目の前に座っているあいつを
きっ、と
睨みつける。
「あんたねぇ、いいかげんに、」
”しなさいよ”、
という、私の言葉が終わらないうちに、
あいつの、
男の子にしてはやけに長い指先が、
私のココアに伸びてきた。
そして、
コップを持ち上げると、
ゴクン、
と、音を立てて飲んだ。
「なんだ、ココアかよ。
俺甘いの苦手なんだけど。
気がきかねえ女だな。」
人のものに手を出したうえ、
文句まで言い放った
あいつに、
さすがに、私も切れた。
「ちょっと待って!
それ、私の!
しかも
飲みかけだし!」
私は立ち上がり、周囲にたくさんの人がいることも忘れて、
声を張り上げた。
「別に、いいだろ?
一口くらい。
お前のくだらない買い物に付き合って、
喉がからからなんだよ。
っていうか、ココアだけかよ。
ポテトも買って来い。
それとも、今度の呼び名は、けち女を希望か?」
こんにゃろ~!!!!!