『私も歩けばイケメンにあたる♪』
「もう!
ひかりってば、
やっぱり、清様とつきあってたんだ。
別に隠すことないじゃない。
入学前から付き合ってるなんて、
私、知らないで、
余計な話、しちゃったよね。
ごめん!
でも、ひかりも悪いんだよ。
ちゃんと言ってくれないんだもん。
今日も、無理に誘って悪かったよ。
ほら!ちゃんと、仲直りしなよ。
ポテトは私が買ってきてあげるからさ。」
栞は、そう言いながら、
財布を片手に席を立つ。
・・入学前から付き合ってる?
・・誰が?
「悪いな、
こいつ、ツンデレでさ。
人前だと恥ずかしがって、
いつもこんな感じになんだよな。」
私に向けるのとは、明らかに違う、
やさしい声のトーンで、
あいつは、さも、申し訳なさそうに、栞にあやまった。
・・ツンデレ???
「ひかりは、テレ屋ですよね。
私は、ちゃんとわかってますから、大丈夫ですよ。」
・・テレ屋???
「ありがと。
君みたいな子が、こいつと同じクラスで良かったよ。
あ、俺のことは、清でいいよ。
こいつのこと、よろしくな。」
・・よろしく??
「あ、私は、河田(かわだ)栞です。
栞でいいですよ。」
栞は、私に向き直ると、軽くウィンクして、
レジの方へと歩いて行った。
「呆けてないで、さっさと座れよ、のろま。」
栞がレジに並ぶのを確認してから、
あいつは、私にだけ聞こえるように、
いつもの低い声を出した。