『私も歩けばイケメンにあたる♪』
「今日は、清、遅いね。
お迎え来ないのかな。」
栞がつぶやく。
帰りは、毎日、栞と駅まで一緒に帰っていた。
おかげで、あいつと、栞は、すっかり仲良くなっていたが、
いつもなら、チャイムが鳴り終えると同時に、
偉そうに教室に入って来る
あいつが、
なぜか今日は、ちっとも現れない。
栞の一言に、
ちょっぴり寂しいような、
何ともいえない気持ちになりかけて、
私は慌てて、首を振った。
一人で帰りたかったんだから!
これは、チャンスじゃないの!
「ねぇ。
今日は、金曜日だし、
せっかくだから、
二人で遊びに行こうよ!」
栞の手をひいて、教室を出ようとすると、
後ろから、直樹さんに呼び止められた。
「あ、ひかりちゃん!
さっき、清に会ったんだけど、
今日一緒に帰れないから、伝えてって。
あと、代わりの人間よこすから、
学校出ないで、待ってろって。」
「代わりの人間?」
「うん。
俺も、誰かは聞いてないんだけど・・。
俺が送ってやりたいんだけど、
部活入っちまったしな~。」
直樹さんは、頭をかきながら、
私に苦笑いする。
直樹さんは、入学と同時にサッカー部に入って、
帰りが一緒になることはなかった。
てっきり
あいつも入るのかと思っていたが、
なぜか、高校では、部活に入る気は、ないらしかった。
と、その時、
私の携帯が鳴った。