『私も歩けばイケメンにあたる♪』

嫌な予感がして、
生徒の群れを掻き分けて進むと・・・

やっぱり、というか、

心さんが、笑って手を振っている。

その後ろには、車が。
しかも、赤い色の外車。

車に興味のない私でも、
それが、とても

“高級で、かっこよくて、おしゃれ”

な車だと
すぐに分かった。

車のフロントに、
半分腰を預けるような姿勢で、手を振っていた心さんは、
まるで、モデルのようだ。

私が、恐る恐る近づくと、
優雅な動作で、助手席のドアを開けてくれた。
相手役が私でなければ、CMの中のワンシーンのようだ。

「あれ、友達がいるの?
一緒に乗っていく?」

私の隣の栞に気づいて、心さんは声をかけてくれる。
いったん、開けた助手席のドアを閉めて、
後ろのドアを開けなおしてくれた。

こういう気遣いが、

あいつにはない、

心さんの素敵なところだ。













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