『私も歩けばイケメンにあたる♪』
④遊興
今朝は、早起きして、私は、こっそりと氷を取って来た。
夕べ、泣きまくって、腫れてしまった目に
氷嚢をあてる。
今日は、土曜日で学校は休みだったが、
なるべく家族で朝食を取る、
という、おじさんの考えから、
土曜日も皆で朝食を取ることが多かった。
とても、ご飯を食べたい気分ではなかったが、
食事をせずに、
母に心配をかけるのは、もっと嫌だった。
あまり良く眠れずに、4時には目が覚めてしまったが、
朝ごはんは、7時からなので、あと3時間は冷やしていられる。
なんとか間に合いそうだ。
コンコン。
ベッド際の壁から、気のせいかと思うくらいの、
かすかな音がした。
ゴンゴン。
しばらくすると、また音がした。
さっきよりも、少し強く叩いているような音だ。
なんだろう?
こっち側の壁は、確か、
あいつの部屋のはずだ。
私の部屋は、南を向いていたが、
あいつの部屋は、私の部屋の北側の壁と接していた。
盗み聞きみたいで、ちょっと罪悪感があったが、
私の好奇心が勝って、壁に耳をあててみた。
<おい!
聞こえてるか?>
今度は、声まで聞こえた。
一体、こんな朝早くに、誰と話してるのか。
すると、今度は、
もっとはっきり、
あいつの
信じられない声が聞こえた。
<ひかり!
起きてるんだろ!
ちょっとそっちに
行っていいか?>